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セノーテ日記

大人の「幼児退行」にどう向き合う? ご家族ができる具体的なサポートと心の守り方

2026.01.22 その他

こんにちは。セノーテ訪問看護ステーションです。前回のコラムでは、大人が子供のように振る舞ってしまう「幼児退行(赤ちゃん返り)」について、その原因やメカニズムをお話ししました。

今回はその続編として、「実際に家族やパートナーが幼児退行の状態になったとき、どう接すればいいのか」という、より実践的なケアの方法についてお伝えします。 大切な人が急に子供っぽくなったり、感情的になったりすると、支える側も戸惑いやストレスを感じるものです。 ご本人をサポートしながら、支える皆さんの心も守るためのヒントになれば幸いです。


1.「否定」せずに「感情」を受け止める

目の前の大人が子供のような言葉遣いや態度をとると、つい「いい大人なんだからしっかりして」 「恥ずかしいからやめて」 と言いたくなるかもしれません。 しかし、幼児退行は本人にとって、過度なストレスから心を守るための精一杯の防衛反応(SOS)です。 頭ごなしに否定や正論を伝えると、本人は「拒絶された」と感じ、不安が強まってさらに症状が悪化することがあります。

まずは、行動そのものではなく「その裏にある感情」を言葉にして返してあげてみてください。

  •  • ✕ 行動を叱る:「そんなことで泣かないで」
  • ・〇 感情を認める:「それくらい辛かったんだね」「今は何も考えくないくらい疲れているんだね」

このように、「甘えたい」「休みたい」というニーズを一旦言葉で受け止める(受容する)だけで、本人の安心感は大きく変わります。ここで大切なのは、感情を受け止めることは、行動をすべて許すこととは違うという点です。 感情には寄り添いながらも、危険な行動や他者を傷つける行為については、別のタイミングで落ち着いて線引きをしていくことが必要です。


2.「決断疲れ」を減らす環境づくり

幼児退行が起きている時、脳は非常に疲弊しており、複雑な思考や判断ができにくくなっています。 普段なら簡単にできる「今日の夕飯何にする?」といった決断すら、大きな負担になることがあります。ご家庭でできるサポートとして、「刺激と選択肢を減らす」ことを意識してみてください。

  • • 静かな環境を作る:テレビの音を小さくする、照明を少し落とすなど、脳への刺激を減らします。
  • • 選択肢を絞る:「何食べたい?」と聞くよりも 「うどんとおかゆ、どっちがいい?」と二択にする、あるいは「今日はおかゆにしたよ」とこちらで決めてあげる方が、本人が楽な場合もあります。

このような関わりは、相手をコントロールするためではありません。本人の様子を見ながら、「今日は体を休める日」と割り切り、一時的に判断を肩代わりするという意味合いです。 「できないこと」を責めず、今は脳の休息期間だと考えて、日常生活のハードルを下げてあげることが回復への近道です。


3.支える側が「共倒れ」しないために

最も大切なことをお伝えします。それは、支えるご家族自身が、一人で抱え込まないことです。幼児退行の状態にある方へのケアは、想像以上にエネルギーを使います。「私がなんとかしなきゃ」「家族だから我慢しなきゃ」と頑張りすぎると、支える側が疲弊し、うつ状態になってしまう「共倒れ」のリスクがあります。以下のことをぜひ心に留めておいてください。

  • • 24時間ずっと向き合わなくていい:「夕食後の1時間だけは話を聞くけれど、その後は自分の時間にする」など、メリハリをつけて自 分の心を守ってください。
  • • 専門家を頼ることは「逃げ」ではない:精神科訪問看護は、ご本人へのケアだけでなく、「ご家族の相談に乗ること」も重要な役割の一つです。

第三者が介入することで家庭内の空気が変わり、ご本人も「家族以外の人になら話せる」というケースは少なくありません。

例えば、あるご家庭では、ご本人が家では感情的になりやすく、パートナーも「どう声をかけていいかわからない」と疲れ切っていました。 毎日顔を合わせる家族だからこそ、お互いに遠慮や苛立ちが積み重なっていたのです。 訪問看護が入るようになると、ご本人は訪問時には比較的落ち着いて話ができ、「家族には言えなかった不安」や「本当はどうしてほしかったのか」を少しずつ言葉にできるようになりました。

その内容をもとに、ご家族には関わり方のポイントをお伝えすることで、「全部背負わなくていいんだ」と気持ちが軽くなったと話されていました。 結果として、家庭内の緊張感が和らぎ、「以前より会話が少し楽になった」「衝突が減った」と感じられるようになったケースもあります。


まとめ:SOSのサインを一緒に受け止めましょう

幼児退行は、心が「もう限界だよ」と叫んでいるサインです。 一過性のストレス反応であれば休息で改善することもありますが、背景にうつ病や統合失調症などの疾患が隠れている場合や、症状が長引く場合は、専門的な治療やケアが必要です。

「どう対応していいかわからない」 「家族だけでは支えきれない」 そう感じたときは、私たちセノーテ訪問看護ステーションにご相談ください。 ご本人が安心して過ごせる環境と、ご家族が健やかに暮らせる距離感を、一緒に見つけていきましょう。 まずは、お電話やLINEで、今の気持ちを少しだけ吐き出してみませんか?


■ご相談・お問い合わせ

セノーテ訪問看護ステーションでは、新規のご相談を随時受け付けています。ご本人様はもちろん、ご家族様からのご相談も可能です。

この記事の監修者

入江正光

セノーテ訪問看護福岡東ステーション

精神看護専門看護師

入江正光

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