生活の中の“強み”に目を向けてみませんか?
10月、街に金木犀の香りがただよい、庭先の草花も少しずつ色づき始めました。
自然に四季の表情があるように、日々の暮らしにも、その人ならではの営みや大切にしてきた習慣があります。
料理をふるまう、庭の花を愛でる、家族や友人に声をかけ合う——そうした日々の営みは、その人らしさそのものであり、強みです。
私たちは、ケアを通して、病気や困りごとだけではなく、対象者の方もつ強みを一緒に見つけていければと考えています。
生活の中で見つかる“強み”のヒント
例えば、「料理を振る舞うことが好き」という方の強みは単に料理のスキルがあることだけを意味しません。
レシピを調べて工夫する
⇒好奇心/向学心/創造性
段取りや下ごしらえを続けられる
⇒粘り強さ
「みんなに食べてほしい」という気持ち
⇒親切/愛
食卓の役割分担や声かけで場を回す
⇒チームワーク/リーダーシップ
アレルギーや塩分などへの配慮
⇒慎重さ/自制
「おいしいね」「ありがとう」を分かち合い、盛り付けも楽しむ
⇒感謝/審美心/ユーモア
というように強みを考えることができます。
考えることは難しいことではありません。
「好き」「大切にしている」「つい続けてしまう」「誰かが喜ぶからやってしまう」——その延長線上にあります。
そして、強みは観察→言語化→共有で育ち、意識して使うほど心の元気が高まりやすいと言われます。だからこそ日々の看護では、評価や助言よりも、相手の良さに寄り添うやわらかな言葉を大切にしています。
おわりに
強みは“ケアの道具”ではなく、あなたの生活の証であり、私たちが分かち合える力です。
日々のどこかで、じぶんの強み、そして周囲の誰かの強みに、そっと目を向けてみませんか。
きっと暮らしに温かい彩りを与えてくれることでしょう。
セノーテ訪問看護福岡東ステーション
寺中 祐人